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†*†*†*†
リリーローズが一通り話し終えると、ぶち模様の彼は押し黙ってしまった。
なにか、考え込んでいるのかもしれない。
「驚いた……」
「え?」
「お前、名前は?」
「?……リリーローズ」
彼女が自分の名を口にした途端、目の前の雄猫の表情が変わった。
「リリーローズ……」
「あの、なんですか?」
「……いや、昔リリーローズって名前の白い雌猫が逃げて来たことがあってな。お前と同じオッドアイだった」
リリーローズはそれを聞いてすぐに察した。
彼はその“リリーローズ”を愛していたのだろう。
しかし、なんらかの形で失った。
多分、そんなところだろう。
そして、そこに失った彼女と毛の色だけ違う、もしかしたら境遇も同じ、猫が現れた。
それで『驚いた』と。
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