第1章:終わりは始まり

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「ここに……住めよ」 やがて、そう言った彼はとても苦しげな顔をしていた。 まるで、リリーローズに言っているのではなく、昔の出来事を追っているようだ。 「俺はジョン」 ジョンは遠い目をして、視線をリリーローズから外した。 彼の黒い瞳は透明な四角い場所へ向けられていた。 “あいつ”の住みかにもあった。 確か……『マド』といった。 あれは不思議だ。 外の暑さも寒さも関係なしに風景だけ見ることができる。 暖かい日の光も浴びることができる。 ジョンにつられるようにしてマドの外に目を向けると、止んでいた白くて冷たいものは水に変わっていた。
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