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木枯らしがリリーローズの銀色の毛並みを掠めた。
銀色と言っても、もはやくすんだ灰色だ。
自慢の光沢のあった毛並みも今は無い。
猫は本来綺麗好きであるはずなのに、リリーローズはそんな気力は持ち合わせていなかった。
“あいつ”は今どうしているだろう。
“あいつ”から逃げ出せただけで幸せになれると信じていたのに、今の彼女は瀕死直前だった。
残念なことに、今の季節は人間が言う『フユ』。
寒いのが苦手なリリーローズは、毎日ギリギリで生き延びていたのだった。
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