第1章:終わりは始まり

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木枯らしがリリーローズの銀色の毛並みを掠めた。 銀色と言っても、もはやくすんだ灰色だ。 自慢の光沢のあった毛並みも今は無い。 猫は本来綺麗好きであるはずなのに、リリーローズはそんな気力は持ち合わせていなかった。 “あいつ”は今どうしているだろう。 “あいつ”から逃げ出せただけで幸せになれると信じていたのに、今の彼女は瀕死直前だった。 残念なことに、今の季節は人間が言う『フユ』。 寒いのが苦手なリリーローズは、毎日ギリギリで生き延びていたのだった。
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