第1章:終わりは始まり

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あれがネズミ……? リリーローズは昔名前も知らない野良猫に聞いた話を思い出した。 『森の猫はな、自由気ままに暮らせるんだ』 『モリ?』 『木がたくさん集まってる場所だよ』 『へえ……』 『人間の干渉を受けないで、自分達で獲物を捕って寝床を用意するんだ。例えば……ネズミとか』 『ネズミ?』 『灰色でチョロチョロ動き回ってる小さいヤツだ』 あの話を聞いた時、なんて森の猫は素晴らしいのだろうと思った。 森の猫が食べるというネズミ。 リリーローズは立ち上がって、目に入った小柄なネズミを追った。 「――おい」
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