第1章:終わりは始まり

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突然、聞き慣れない声がした。 振り向くと、大柄でぶち模様の猫がジッとこっちを見ていた。 「お前、こんな所でなにしてるんだ?」 「いや……すいません」 「お腹空いてるのか? お前、ペットだろ? ネズミなんて食べようとするの、よっぽどだと思うけど」 怒っている訳ではなさそうな彼は素早い動きでネズミを仕留めた。 リリーローズはその素早さに思わず目を見張る。 狙いを定めてから捕らえるまでほんの数秒だった。 ほら、と言って彼は仕留めたばかりのネズミを差し出した。 今まで経験したことのない生々しい見た目に、リリーローズは躊躇してしまう。 しかし、空腹で限界だったため、彼女は恐る恐るネズミを一口頬張った。
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