雪の光

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 「それにしても災難だったね。図書委員を手伝わされることになるなんて」早川さんは本の整理をしながら、僕に言った。  窓から外の景色を眺めると、確かに雪はいまだ、しんしんと降っている。  先ほどから降り続いているその雪は、手でかき集められるくらいに積もっているように見えた。  学校の図書室には、僕と早川さん以外に人の気配はなかった。  僕は早川さんの様子を窺いながら「そうだね。災難だったよ」と答える。  また「山下のせいだけどね」とぼそりと付け加えた。  それで早川さんは僕の方をちらりと見ると、袖で口元を隠しながら、くすりとした。  僕は少しの間、早川さんの行動を観察すると、何をすればよいのかを尋ねた。  早川さんは椅子から腰を上げると、図書室の辺りを見渡しながら「そうね。なら本棚の整理をお願いしていいかしら」と遠慮がちに言った。  僕は「分かった」と答えると、一番最初に目についた本棚へと向かった。  僕は図書委員の仕事をした経験がなかったので、大体の感覚で本を並べていく。  途中、本にかぶさっている埃を何度か払った。
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