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一人取り残された僕は、本の整理を続けつつも、今、自分が何をしようとしているかということについて考えていた。
だけどその答えは簡単だった。
もうすでにその問いに対する答えは自分の中で、出来上がっていたのだ。
僕は自分の手にじんわりと力が入っていくのを感じ、そのまま勢いよく残りの本を並び終えると、早川さんのいる奥の部屋へと大股で足を踏み出した。
本棚と本棚の間を抜け、カウンターの横を通り過ぎ、僕がドアノブに手を掛けようとしたところで、先にドアが開いた。
そうして、まさにちょうどのタイミングで、早川さんが現れた。
僕がそこに立っていたことに驚いたのか「びっくりした」と早川さんは少し仰け反るようにした。
そういう僕も不意を突かれたため、先ほどまでの勢いはどこへやら、その場に立ちすくんでしまった。
「もう本の整理は終わったの?」ここでもやはり、先に話を切り出すのは早川さんだった。
僕は自分で自分が情けなくなる。
「うん、終わった」と言う声が弾んでいるはずもなく、風の音の方が大きく聞こえるほど、弱々しいものとなってしまった。
「そう。なら帰りましょうか」早川さんはそう言うと、すたすたと図書室の隅へと歩いていき、パチりと電気を消すと、横にかかっている鍵をすっと取って、またこちらへ戻ってきた。
僕には早川さんのその動作が一瞬のことに感じられ、その間、僕は彼女を眺めるだけで何もする事ができなかった。
「あら、行かないの?」
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