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傘を持っていなかった私は急いで近くのトンネルに駆け込む。車も人も、たまにしか通らない小さなトンネル。
中には既に人がいた。壁に背中をもたれて脚は投げ出している。
うっなんか臭い。
「あの…こんにちは」
小さなトンネルの先客に私はとりあえず挨拶をした。暗い肌、しわしわの手。お爺さんのようだ。
お爺さんは私の方をちらりと見たかと思うと、何も言わずに右手にあったお酒を握り締めた。瓶にはまだ並々に透明なお酒が入っている。
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