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「拓人、一つだけ…母さんのお願い聞いてくれないかしら?」
由依を家に送り、帰り着いた俺に母は温かいお茶を差し出しながら話しかけてきた
「何?母さん」
「籍を入れるの…寒くなるまで待てないかしら。そうね…出来れば初雪が降る日にしない?父さんと母さんが籍を入れたのも丁度初雪が降った日だったの。ロマンチックでしょう?それまでに母さんも色々と準備したい事があるのよ」
「母さん意外とロマンティストだったんだ」
そう言って『いいよ』と快諾した俺に母は嬉しそうに微笑んだ
「準備って何するのさ」
俺はお茶を飲みながら、台所に立つ母に話しかける
「秘密よ。結婚してからも拓人が困らない様にね…。もうすぐご飯出来るわよ。栗ごはん、拓人好きでしょ」
背中越しで顔は見えなかったが、嬉しそうな声色で母は返事をする
俺が困らない為の準備か……何だろ
何にせよ、母が由依を気に入ってくれたのは幸いだった
「由依さんに身寄りがないなんて…」
『丁度良かったわ』
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