約束

2/5
前へ
/9ページ
次へ
「拓人、一つだけ…母さんのお願い聞いてくれないかしら?」 由依を家に送り、帰り着いた俺に母は温かいお茶を差し出しながら話しかけてきた 「何?母さん」 「籍を入れるの…寒くなるまで待てないかしら。そうね…出来れば初雪が降る日にしない?父さんと母さんが籍を入れたのも丁度初雪が降った日だったの。ロマンチックでしょう?それまでに母さんも色々と準備したい事があるのよ」 「母さん意外とロマンティストだったんだ」 そう言って『いいよ』と快諾した俺に母は嬉しそうに微笑んだ 「準備って何するのさ」 俺はお茶を飲みながら、台所に立つ母に話しかける 「秘密よ。結婚してからも拓人が困らない様にね…。もうすぐご飯出来るわよ。栗ごはん、拓人好きでしょ」 背中越しで顔は見えなかったが、嬉しそうな声色で母は返事をする 俺が困らない為の準備か……何だろ 何にせよ、母が由依を気に入ってくれたのは幸いだった 「由依さんに身寄りがないなんて…」 『丁度良かったわ』
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加