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唖然とする父と母を前に、お菊は更に続ける。
お菊「父上はいつもおっしゃられてるじゃありませんか。
『殿様がお困りの時は、命を捨てて奉公するべきだ』……と」
奉行「いや、しかしだな……」
お菊「今こそ、私が殿様のお役に立つ時ではありませんか!!
そのために命を投げ出すならば、本望でございます!!」
奉行「……うぅむ……」
お菊に説得された普請奉行は、その翌日、直継の元にそれを進言しに行った。
直継「なんと……」
しばらく言葉を失う直継。
だがしばらくしてから、直継は深々と頭を下げて言った。
直継「お前の娘の忠心、恐れ入った。この通り礼を申す……!!」
お菊は人柱になる事となった。
それから数日後。
お菊は白装束に着替え、白木の箱に入れられ、そして埋められた。
普請奉行は、自分の娘が埋められる様を見ることが出来なかったという。
お菊「……それでは、殿様のお役に立って参ります」
それがお菊の最期の言葉だった。
その後工事は順調に進み、数日後には天守が据えられた。
工事はお菊の犠牲により、無事に成功したのだ。
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