信玄『それ持ちネタ?』

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また、武田信玄の使い番は旗指物は『白地に黒いムカデ』の柄にしなければならないと決まっていた。 これがあの有名な『むかで衆』の異名の由来である。 さて、初鹿野伝右衛門も、そんなむかで衆の一人であった。 だがとある合戦の時の事、信玄がふと伝右衛門の旗指物を見ると……。 ……ムカデが描かれていない。 いや、それどころか真っ白な無地の旗を指しているではないか。 これは武田家の軍法違反である。 信玄「何だアレは?むかで衆なのに白い旗指物を……ってまたアイツかよ!?今すぐ呼び出せ!!!!」 以前の『香車』陣羽織の件で伝右衛門に目を付けていた信玄、早速彼を呼び付けた。 信玄、軍法を破った伝右衛門に怒り心頭である。 信玄「お前はむかで衆なのに、軍法を破って白い旗を指している!! 何で軍法違反を犯したのだ!?!?」 だが伝右衛門は、全く悪びれた様子も無く言った。 伝右衛門「……は?私は何にも軍法違反などしてませんよ? 旗をよ~く見てください、よ~く……」 言われた信玄が旗をじっくり見てみると……。 確かに、ムカデは描かれている。 隅~っこの方に、ち~っちゃく。 信玄「……ム、確かに……。 しかし何故こんなちっちゃく描いてるんだ?他のむかで衆の様に大きく描けば良いのに」 伝右衛門「いや、そんな事をすれば、私が他のむかで衆とまぜこぜになってしまいます。 私の陰が薄くなっちゃうじゃないですか!!!!」 平然と答える伝右衛門に、信玄は大笑いして彼を許したそうな。 ……事前に仕込みしてるよね?伝右衛門?
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