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享禄四年(1531)六月四日。
摂津国の阿倍野、中津川一帯で室町幕府管領の細川高国と、それに対抗する三好・赤松連合軍が激突した。
だが細川高国は三好・赤松らの倍に当たる二万の兵を擁していたにも関わらず、奇襲によってほぼ全滅。
後に『大物崩れ』と呼ばれる程の日本史上稀に見る奇襲戦であった。
さて、困ったのは負けた細川高国である。
頼りにしていた播磨の大名、浦上村宗は早々に討死してしまい、細川軍の主力だった浦上兵も我先にと逃亡。
気が付くと、総大将の高国は一人ぼっちになっていた。
もちろん、高国だって逃亡を図った。
しかし近くの城は既に三好の手に落ち、そこらには赤松兵の歩哨が立っていた。
これでは見付かってしまうのは目に見えている。
切羽詰まった高国は、近くにあった『京屋』という藍染屋に逃げ込んだ。
そして店内の大きな壷をひっくり返し、その中に隠れたのである。
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