無口 VS カブキ者

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ある時、豊臣秀吉が大名達を集め、宴会を開いた事があった。 だが、この場に大名でもないのに紛れ込んでいる者がいた。 天下一のカブキ者、前田慶次郎利益である。 どうやったかは知らないが、慶次は宴に潜り込み勝手に楽しみ始めたのだ。 そして宴もたけなわになった頃、慶次は猿の面をし、頬被りを付けた。 そうして踊りながら猿真似をし、大名達の膝の上に次々と腰掛けた。 宴の席なので大名達も笑うばかりで、これを誰も咎めたりしない。 そうしている内に、慶次は上杉景勝の前にやって来た。 次は景勝の膝の上に腰掛ける……かと思いきや。 景勝「……………」 (ムスッ) 慶次(……あ、コレちょっと無理だわ……) (´・ω・`)ニョロ~ン 黙りこくっている景勝の異様な雰囲気に、慶次はとてもふざける事が出来なかったという。 この時慶次は、 慶次(天下は広いと言っても、オレが仕えるのはこの人しかいねぇ……!!) と確信したらしい。 そうして慶次は数々の仕官話を蹴り、直江兼続を通じて上杉家へと赴くのであった。
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