①プろろーぐ

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 祖母の死と、遺産でのいざこざ。  『二度あることは三度ある』と言うが、それは不幸な事の方が多いと思う。  高校2年の春。両親が交通事故に遭って亡くなったのだ。  相手側車両の、居眠り運転によるものだそうだ。両親は即死。突然の出来事だった。  病院から電話が来たとき、僕の中の世界は真っ白になったのを覚えている。  両親の葬式を終えると同時に、親戚の間に一つの懸案事項が生まれた。つまるところ、僕を誰が引き取るか、についてである。  親戚の人達は、可笑しいもので、今までの嫌悪感を嘘のようにひっくり返し、優しい声で僕に接してきた。  しかし、僕も馬鹿じゃない。その理由はきっと、僕に対するものじゃなく、僕の受け継ぐ遺産目当てだ。  誰も信じる事が出来なくなり、いよいよをもって、自分が孤立化した事を実感された。  両親との思い出が詰まった自宅は、最早僕にとっては地獄でしかない。苦痛に耐えるのが限界になったところで、僕はふらふらと祖母の実家へと引っ越して行った。  理由なんて無かった。ただ、あそこの家なら、一人でも苦痛が和らげる気がしたのだ。
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