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通っていた高校には、退学届けを出した。高校中退という肩書きは、今のご時世では辛い重荷だが、そんなことも、もうどうでも良くなっていた。
祖母の家に着き、森と海に囲まれたこの村で一生を過ごす事を再認識すると、微かな不安が心を揺さぶった。しかし、それも一瞬。
段ボールに包まれた荷物が、家に積み込まれている事を確認して、自宅の茶の間へと足を踏み入れた。
そこで、見つけた。
真っ赤なツンツンの短髪に、黒い甚平。手には音楽プレーヤーを持ち、ドクロ型のヘッドホンを耳にかけた、
「あ?誰だてめぇ?」
怖い顔をしたお兄さんが、威風堂々腰をおろしていた。
これから語られるのは、現代に生きる異の者と、現代を嫌う人間の、不思議な不思議な出会いの話。
不幸な少年が見つけた、確かな幸せの物語。
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