ISSUE:0

3/3
前へ
/23ページ
次へ
 「ぐっ」 と、バルは立ち上がろうとする。魔術師は彼の目の前に現れ、バルの顔面を踏みつける。  「このまま殺しても仕方がない」  「何する気だ」  「お前を不老不死にしてやる。死ねない恐怖を味わうがよい」 バルの体は光り始めた。そして、次の瞬間、バルの体が大きくなり始めた。体から灰色の毛が生え始める。  「貴様、他に何をした」  「お前は大きな狼に変えてやっただけだ」 バルの姿は次第に狼になって行く。  「狼だが言語は人間の言葉を話せるようにしておいた。それじゃあ」 と、魔術師はどこか消え去ってしまった。馬ほどの大きさの灰色の毛並みをした狼に、バルは変身してしまったのだ。  「バルさん。大丈夫ですか」  「ああ。俺は・・・・」  「狼に成っています」 と、あっさりと助手はそう答えた。バルの瞳から涙を流していた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加