露骨

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   無性にムラムラする日というのがある。もしかしたら男の子にも、女の子と同じように、“男の子の日”があるのかもしれない。まあ、ただのムラムラする日だけど。  土曜日で学校が休みだったその日は、男の子の日だった。  正直、マスターベーションは好きではない。事後に、激しい虚しさに襲われるからだ。この前なんか(とはいっても三ヶ月以上前の話だけど)、している最中に虚しくなってしまった。結果として、途中でやめることとなった。あれほど虚しいことはないと思う。  ただ、さすがは男の子の日だ。どうにもムラムラがおさまらない。大袈裟だけど、ギンギンだ。  不安はあったが、することにした。今の時代、オカズには困らない。インターネットでちょちょいのちょいだ。問題は、あるとするならば、やはり、虚しさだろう。  最初は順調だった。ムラムラしているだけあった。これならすぐに終わると安心した。しかし、その瞬間、はじけるように、心中に虚無感が広がった。  ムラムラしているのに立たない。いや、立ちはするが中途半端だ。“自分はED(印って字に似てるよね)かもしれない、と疑いはするが、疑いの域は越えない程度”に立ってやがるのだ。  息子を出しながら落ち込む少年。つまり僕は、しばらく考えたのち、やり方を変えようという結論に達した。  噂には聞いていた、けれど手を出せずにいた、アレを使うことにした。  コンニャク。  その語句だけで、すべてが伝わるとうれしい。  さて、息子をしまって台所に降り立った僕は、すぐさま冷蔵庫を探った。  あった。ありはした。ありはしたけれど……。  このとき、僕は正常ではなかった。ムラムラと虚無感から派生した自己嫌悪やら、知恵熱やら。理由はどうでもいいけれど、とにかく、僕の頭はおかしかった。  だから、“糸コンニャクでもいいや”と思ってしまったのだ。  結果は気持ち悪いだけだった。  すき焼き用に買っておいたはずの糸コンニャクがなくなっていたことを、母は今でも不思議に思っている。  ――という話を友人にしたところ、友人は、俺はカップヌードルでやったことがあるよ、と言っていた。  どうやってやるのかは、怖かったので聞いていない。  
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