ギャルゲーでも彼女を作ります

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「だがしかし! そこをあえてマイナー路線で行くからこそ俺達の興奮が高まるというもの! 先生という禁断かつ年齢の差という壁を乗り越えてこそ、その恋愛は熱く、そしてその先のアガルタ(天国)が輝いて見えるのだ!!」 「やり遂げた俺達はきっとこういうだろう。『保健の勉強になった』と。それでもダメと言えるのか?」 「うぐッ……!!」 くそ! 流石は我が至高の友でありながら、最大の恋のライバル嘉山 晴彦。インデックスの知識は伊達ではない! しかし、僕も負けられない。 自称恋愛の魔術師の名にかけてこの勝負に勝つ! 「だけど現実は甘くないよ? 実際いる保健先生はどうだい? ただのババアじゃないか!! たとえ僕達がそれをやり遂げたとしてそれを応用できる日が来るの?」 「そいつは……!!」 「それに対し、幼馴染みというのは世界に共通して存在する不可欠要素。神様の贈り物! 今や世界平和に必要な存在だ。このジャンルをクリアすることこそ、大きな収穫があったといえよう!」 「さあ手を伸ばせ。嘉山 晴彦! 保健という魅力に束縛された枷を今外し、飛び立つのだ!!」 明らかに悩んだ表情に変わっている晴彦だ。 ふん!  僕の言葉を使えば途端に心変わりできる、 「だが、俺達の現実にいる幼馴染みにそのテキストは通用するのか!?」 「ごめんなさい!」 くそ! 認めたくないけど僕の負けだ!! がっくりと膝をついてうなだれていると、晴彦が僕の肩をそっと優しくおいてきた。 「だけどお前の言いたいことは至極真っ当な意見だ。その言葉を聞いて俺は感動したよ」 「晴彦……」 「たまたま俺達の幼馴染みが悪すぎただけなんだ。幼馴染みというのは繊細で、可憐で、世話好きなものだ」 「それが本当にたまたま……たまたまなんだ。偶然にも粗暴で、暴力的で、厄介者という幼馴染みを持っただけなんだ……」 「僕たち……苦労してるね」 「本当に…………そうだな……」 お互いが窓の外を見つめて沈みつつある夕日を眺める。 僕達はまた一つ、友情の絆という階段を登ることに成功したのだった。
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