ギャルゲーでも彼女を作ります

6/21
前へ
/45ページ
次へ
「流石はギャルゲー! その可能性は無限大ってわけだ!」 同じように興奮している晴彦に頭を縦に振りながら、PS2.5のコントローラーを握る。 「よし、初めからを選んでっと……。最初は名前か。どうしよう?」 「ここはかっこいい名前にしないとな」 「なるほど」 同意のうえ五十音順に並べられた名前の一覧から操作で選んでいく。 「え・い・ごっと」 「ちょっと待て我が同志よ!」 「どうしたの?」 決定を押そうとしたところで手をつかまれる。 どうしたのだろうか。 早くゲームを開始したいというのに。 「お前今なんて打った?」 「英悟、すなわちえいご、そして僕の名前でもある」 「俺が前言った言葉を覚えているか?」 「かっこいい名前でしょ? だから英悟なんだよ」 「しゃらっぷ!!!」 何故か全力で怒られた。 「お前の名前がかっこいいだと!? この晴彦という崇高かつ聞いたものを夢へと誘うような名前を差し置いて英悟だと! あり得ない!! 英悟なんて屑だ!」 「な、なんだと! 晴彦こそどこにでもいそうな名前じゃないか! この英悟は父上と母上が30分かけて作られた愛の結晶の形だ! それを侮辱するとは貴様……!!」 「30分? 甘いな! うちの親は『妊娠したぁ』『んじゃ晴彦でよくね?』『おーけー』ぐらいのテンションとテンポで決まったんだぞ!」 「なにをぉ!」 「やるかぁ!!」 ゲームそっちのけでお互いの胸ぐらを掴みあう。 コントローラーが落ちても、お互いの目を睨み付けたままだった。 「こうなったら明日彩子に聞こう! どっちがかっこいい名前かをなぁ!」 「いいよ! その代わり負けた方はエロ本を相手に渡すという罰ゲーム付きにするからな!」 「やってやらぁ!!」 こうして僕たちの初日の特訓は終了した。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加