2.纏 腐

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【今にも崩れそうな廃墟 手を銃のような形にする男 辺りから匂う異臭 腐っていく服 目の前に立っている男】 「ガハッ、」 変な声を出しながら遠藤は起き上がった。 (ここは?) 辺りを見回すと沢山の資料、機械が同じ目線に置いてあった。 どうやら遠藤は無造作に机の上に置かれているらしい。 耳を澄ますと隣の部屋から声が聞こえてきた。 「君、アレをここに持ってきてどうするつもりだね。」 男の声だ。 「どうもしません。」 こちらも男の声。 「勝手な事と承知で行っていますが、意図はありません。強いていうなら『探検』でしょうか?」 生意気な奴だな、と遠藤は思った。 「はぁ…まあ、君なら何か意図があると思っていたが。まあいい。何を言っても無駄だと思うからね。」 「は、ありがとうございます。」 声が止んだ。直後、こちらに向かってくる足音がした。 扉を開けて入ってきたのは杉原だった。 「お、元気そうで何よりだ。」 杉原は遠藤に向かって手をあげた。 遠藤は気を張りつめながら杉原を見る。 「これはどういうことですか。」 杉原の気持ちが全く読み取れない。 「ある種の遠足だ。行くぞ。」 そう言って杉原は部屋から出ていく。 遠藤は杉原を追う。 部屋を出てみるとそこは別世界だった。辺り一面にコンピューターがあり、それを使っている人がいる。 大広間のような場所の中央には大きな塔のような物が建っていた。 「出てきたか。」 遠藤が振り返ると、杉原が壁にもたれかかっていた。 「よし行くぞ。」 杉原が歩き出したので遠藤も一緒に歩く。 「この中央にある機械の塔みたいなやつにはあらゆる特殊能力の情報が入っている。俺達はこれを『ジャック』と呼んでいる。」 「メインコンピューターみたいなやつですか…。」 遠藤が辺りを見回すと小さい女の子がいた。 金髪で長髪の外国人だ。 「ねえ君、何してるの?」 遠藤がしゃがんで女の子に話しかける。 しかし、少女は遠藤を見るなり舌打ちした。 「私に話しかけんじゃねえよこの○○○。」 遠藤は動けなかった。 杉原が笑いながら遠藤に声をかける。 「あんまりそいつに近付くな。心が折れるぞ。」 「もう折れました…。」 「ハハハ、そう言うな。こいつもお前の為に頑張ってくれたんだから。」 「えっ、この子ですか?」 (こんな少女に助けられたのか…。) 「こいつの専門は音。それがこいつの能力でもある。」
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