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会議室に十数名の能力者が集まる。
後に分かった事だが、ここにいる人達は皆能力を持っているらしい。
「先程、新たな能力者が検知された。今、種類、能力値を確認している。君達には検知された場所で能力者を探してもらう。」
「はい!」
威勢の良い返事だ。
「詳細は追って伝える。では頼む。」
リーダーらしき男がそう言うと全員が部屋から出ていった。
一方、遠藤は水樹に本部内のフロアを紹介されていた。
「一つ聞いても良いですか?」
遠藤は尋ねる。
「良いですよ。」
「何で俺をここに連れてきたんですか?」
一つだけ、と言ってしまったため一番知りたい疑問を聞いた。
「それは杉原さんに聞いてください。」
水樹に笑顔で受け流された。
「ですよね…。」
遠藤は肩を落とす。
「お、なんだいなんだいお二人さん。こんな所で何やってんの?」
遠藤が声の方を向く。
そこには鉄パイプにぶら下がっている男がいた。
「あ!大瀧さん!」
水樹は声を上げる。
「何だ水樹か、何やってんだよ。そいつは?」
「ええ、今この人を案内してまして。」
水樹と男の会話を聞いていると遠藤は頭が痛くなってきた。
「おい。」
遠藤はいつの間にか俯いていた顔を上げると目の前に男がいた。
遠藤は驚き少し後ずさりした。
「お前が遠藤か…。なかなかどうしてこんな奴なんだろうな。」
男は首を傾げた。
「何が悪いんですか。」
遠藤は少し不機嫌になる。
「いや、お前みたいな度胸もなさそうな奴が何で超特殊能力を、しかもよりにもよってその能力…」
突然、水樹が割って入ってきた。
「その話はちょっと。」
男は何かに気付き、少し戸惑った。
「ああ、すまん。」
(俺の能力?)
「おっと、紹介が遅れた。俺は大瀧詠一(おおたき えいいち)。能力は…まあ、いつか分かるだろう。」
「ちょっと待って下さい!俺の能力って何ですか?」
大瀧が驚いたという顔をしている。
「はあ?何で分かんねえの?お前、見たんだろ?」
「見た?」
「最近、夢で見たんだろ。自分が襲われる夢。それのことだよ。何ていうか、予知能力…的な?」
大瀧は少しおどける。
遠藤はそれどころじゃない。
(予知能力?)
確かに遠藤にもほんの少しだけ思っていたことがあった。
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