2.纏 腐

6/20
前へ
/3000ページ
次へ
会議室に十数名の能力者が集まる。 後に分かった事だが、ここにいる人達は皆能力を持っているらしい。 「先程、新たな能力者が検知された。今、種類、能力値を確認している。君達には検知された場所で能力者を探してもらう。」 「はい!」 威勢の良い返事だ。 「詳細は追って伝える。では頼む。」 リーダーらしき男がそう言うと全員が部屋から出ていった。 一方、遠藤は水樹に本部内のフロアを紹介されていた。 「一つ聞いても良いですか?」 遠藤は尋ねる。 「良いですよ。」 「何で俺をここに連れてきたんですか?」 一つだけ、と言ってしまったため一番知りたい疑問を聞いた。 「それは杉原さんに聞いてください。」 水樹に笑顔で受け流された。 「ですよね…。」 遠藤は肩を落とす。 「お、なんだいなんだいお二人さん。こんな所で何やってんの?」 遠藤が声の方を向く。 そこには鉄パイプにぶら下がっている男がいた。 「あ!大瀧さん!」 水樹は声を上げる。 「何だ水樹か、何やってんだよ。そいつは?」 「ええ、今この人を案内してまして。」 水樹と男の会話を聞いていると遠藤は頭が痛くなってきた。 「おい。」 遠藤はいつの間にか俯いていた顔を上げると目の前に男がいた。 遠藤は驚き少し後ずさりした。 「お前が遠藤か…。なかなかどうしてこんな奴なんだろうな。」 男は首を傾げた。 「何が悪いんですか。」 遠藤は少し不機嫌になる。 「いや、お前みたいな度胸もなさそうな奴が何で超特殊能力を、しかもよりにもよってその能力…」 突然、水樹が割って入ってきた。 「その話はちょっと。」 男は何かに気付き、少し戸惑った。 「ああ、すまん。」 (俺の能力?) 「おっと、紹介が遅れた。俺は大瀧詠一(おおたき えいいち)。能力は…まあ、いつか分かるだろう。」 「ちょっと待って下さい!俺の能力って何ですか?」 大瀧が驚いたという顔をしている。 「はあ?何で分かんねえの?お前、見たんだろ?」 「見た?」 「最近、夢で見たんだろ。自分が襲われる夢。それのことだよ。何ていうか、予知能力…的な?」 大瀧は少しおどける。 遠藤はそれどころじゃない。 (予知能力?) 確かに遠藤にもほんの少しだけ思っていたことがあった。
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

845人が本棚に入れています
本棚に追加