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笠松達は梶本の豪邸の前に立っていた。
「あー、美咲様どうかお許しを~!」
梶本は玄関のドアを開け、中に入る。
「お前らも上がれ。そっと部屋に行くぞ。」
笠松達も静かに梶本の家に上がった。
相田はリビングでウイスキーの瓶の上で酔い潰れていた。
梶本が笠松達に用意した部屋は二階にあり、そこはホテルの大部屋と大して変わらない部屋だった。
「男女共同になっちゃうけど、桜ちゃんはそれでいい?」
「あ、はい。お気遣いありがとうございます。早く快を…」
その時、突然笠松の携帯電話が鳴り出す。
「え、ここでこのケータイ使えるの?」
笠松は電話に出る。すぐに笠松の表情は晴れた。
「あ、うん。分かったよ。それじゃあまた明日。」
笠松は電話を切る。その場にいる全員が笠松の表情に注目していた。
笠松は皆を見て安心した表情で微笑む。
「快は陸館さんの家にいるってさ。今日は陸館さんに泊めてもらうらしい。」
その場にいた全員が安堵の溜め息をつく。そして皆が笑い出した。
「やっぱり皆快のことが心配なんだね。でも、僕らのリーダーは無事みたいだ、声も明るかったし。僕達も休もう。」
梶本は手を振りながら部屋を出た。
笠松達はそれぞれのベッドで眠った。
遠藤は陸館と共に遠藤の携帯電話で遊んでいた。
「凄いねそれ!」
「本当に凄いですよね。まさかコレにこんな使い方があったなんて。」
遠藤はアドレス帳を開き、その名簿から『藤原由衣』を開いて電話をかけた。
十秒程のコール音の後、電話が誰かに繋がった。
「もしもし!快さんですか!」
電話の相手の声は間違いなく藤原由衣だった。
「あ、由衣?今そっち何時?」
「夜の一時ですよ!皆心配してますよ!?」
「あ、時間の進み具合は一緒なのか。こっちも夜の一時だよ。」
「こっちもって…、だから今どこにいるんですか!?」
「第一の世界。」
「はいぃ!?」
「親父に代わってくれ。十秒以内に親父が出なかったら親父をぶっ殺すから。」
藤原の走る音が聞こえる。遠藤と陸館は苦笑した。
数秒後、遠藤拓真が電話に出た。
「おい、どこにいんだよ!」
「親父にも協力して欲しい。これは親父の償えない罪に関係する話だ。」
遠藤は真剣な表情で電話口に話した。
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