28.雲散霧消 智者一失 正悪

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笠松達は梶本の豪邸の前に立っていた。 「あー、美咲様どうかお許しを~!」 梶本は玄関のドアを開け、中に入る。 「お前らも上がれ。そっと部屋に行くぞ。」 笠松達も静かに梶本の家に上がった。 相田はリビングでウイスキーの瓶の上で酔い潰れていた。 梶本が笠松達に用意した部屋は二階にあり、そこはホテルの大部屋と大して変わらない部屋だった。 「男女共同になっちゃうけど、桜ちゃんはそれでいい?」 「あ、はい。お気遣いありがとうございます。早く快を…」 その時、突然笠松の携帯電話が鳴り出す。 「え、ここでこのケータイ使えるの?」 笠松は電話に出る。すぐに笠松の表情は晴れた。 「あ、うん。分かったよ。それじゃあまた明日。」 笠松は電話を切る。その場にいる全員が笠松の表情に注目していた。 笠松は皆を見て安心した表情で微笑む。 「快は陸館さんの家にいるってさ。今日は陸館さんに泊めてもらうらしい。」 その場にいた全員が安堵の溜め息をつく。そして皆が笑い出した。 「やっぱり皆快のことが心配なんだね。でも、僕らのリーダーは無事みたいだ、声も明るかったし。僕達も休もう。」 梶本は手を振りながら部屋を出た。 笠松達はそれぞれのベッドで眠った。 遠藤は陸館と共に遠藤の携帯電話で遊んでいた。 「凄いねそれ!」 「本当に凄いですよね。まさかコレにこんな使い方があったなんて。」 遠藤はアドレス帳を開き、その名簿から『藤原由衣』を開いて電話をかけた。 十秒程のコール音の後、電話が誰かに繋がった。 「もしもし!快さんですか!」 電話の相手の声は間違いなく藤原由衣だった。 「あ、由衣?今そっち何時?」 「夜の一時ですよ!皆心配してますよ!?」 「あ、時間の進み具合は一緒なのか。こっちも夜の一時だよ。」 「こっちもって…、だから今どこにいるんですか!?」 「第一の世界。」 「はいぃ!?」 「親父に代わってくれ。十秒以内に親父が出なかったら親父をぶっ殺すから。」 藤原の走る音が聞こえる。遠藤と陸館は苦笑した。 数秒後、遠藤拓真が電話に出た。 「おい、どこにいんだよ!」 「親父にも協力して欲しい。これは親父の償えない罪に関係する話だ。」 遠藤は真剣な表情で電話口に話した。
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