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翌日の午前五時、笠松は一人いつもの起床時間に目を覚ました。
笠松は枕元に置いてある携帯電話を確認する。
「あ、メール…。」
笠松の携帯電話に一通のメールが届いていた。
笠松はメールを開く。送り主は遠藤だ。
『どうやら電話やメールが向こうの世界にできるらしい。創のケータイでも出来たら教えてくれ。』
「え…?」
笠松は早速片桐の携帯電話に連絡した。
数回のコール音の後、通話が繋がった。
「もしもし!こよ…」
「はーくんの馬鹿ぁ!!」
片桐の叫び声がハウリングを起こし、その部屋にいた桜とKもその騒音のせいで目を覚ました。
笠松は耳に指を入れ、もう片方の耳に携帯電話を当てる。
「こ、暦、怒ってる?」
「当たり前でしょ!連絡もしないで私達二人を置いて!夜に遠藤君が連絡をくれなかったら気がおかしくなってたよ!」
「…ごめん。そっちに変わりはないかい?」
「ううん。だからはーくん達の行動はこっちには影響来ないから充分楽しんできてね。お父さんとかお母さんに会うんでしょ?」
「もう会ったさ。ありがとね、暦。」
笠松は電話を切った。その時に全員が起きていることに気付いた。
笠松は両手をポケットに入れる。手に力がこみ上げてきた。
(よし、能力の限界はリセットされてる。)
「それじゃあ待ち人よりも先にリーダーを捜そうか。」
遠藤は陸館に頼んで陸館家の家系図とアルバムを見せてもらっていた。
遠藤はリビングに本の束を持っていき、椅子に座って全てを読み始めた。
陸館は遠藤の前にコーヒーを置く。
「はい。砂糖とミルクはいる?」
「いや、結構です。ありがとうございます。」
陸館は遠藤の向かいの椅子に座る。
「それにしても守り人を自分で捜さないといけないなんて遠藤君は大変だね。普通は守り人は四大起源の近くに現れるはずなんだけど。」
「おそらくはいますよ。候補は二人いるんですが、多分俺の考えは当たってます。陸館さん、あなたに子供はいますか?」
「いや、相手もいないよ。だから僕が死んだら能力は弟の…」
陸館は遠藤が開いているアルバムの一つを指さす。
「…に移ると思うよ。」
その瞬間、遠藤の仮説が確証に変わった。
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