28.雲散霧消 智者一失 正悪

9/62
前へ
/3000ページ
次へ
遠藤は一度頭の中の情報を整理し、それらを繋げていった。 陸館はその様子を見て笑う。 「本当に拓真君に似てるね。」 「それは親父にですか?それとも大伯父に?」 「どっちも。元々遠藤家はズル賢い方の頭が良いからね。」 「そうなんですか。でも、その能力も沼野紅に移ったんですよね。」 「そうだよ。でも拓真君は遠藤君の知ってる能力は全部使えるよ。全ての能力を合成して一つの能力として体に封じてるからね。」 「あーなるほど。」 遠藤は沼野を思い出し、次にその守り人であった海藤翔平を思い出す。 「今の皆って裏の四大起源とコンタクト取ってますか?」 「いや全く。遠藤君達みたいにKやDが味方だと嬉しいんだけどね。」 「Lの守り人って誰か分かりますか?」 「ううん、知らないなぁ。」 その時、遠藤は海藤についてある疑問を持った。 その疑問はすぐに解消された。 しかし更に別の疑問が生じた。 その瞬間、遠藤の中で全ての謎が解けた。 遠藤は突然笑い出す。 「ク、クク…、アハハ。」 遠藤は頭を押さえる。 「そっか、簡単な話だ。あの人しかいない。」 遠藤は陸館を見る。 「陸館さん、あの少女とその待ち人の正体に気付きました。」 陸館は遠藤の脳内を読み取る。 その瞬間、陸館は思わず吹き出して笑った。 「え、本当に?それはなんて可哀想に…。」 遠藤は立ち上がり、本の山を元の場所に片付けに行く。 「もう昼ですから外に出ていいんですよね。」 「いいけど、それでも遠藤君達の世界とは違うよ?僕もついて行くよ。」 「ありがとうございます。」 遠藤は本を片付け、ブーメランを腰に携えた。 「遠藤君、一睡もしてないのによくそんなに動く気になれるよね。」 遠藤はクマができている目をこする。 「大丈夫ですよ。俺は自分の体くらいは操れます。」 「うん、それって全然大丈夫じゃないよね。」 「これが終わったらぐっすり寝ます。俺達の世界で。」 遠藤と陸館は家を出てある種の地獄へ足を踏み入れた。
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

847人が本棚に入れています
本棚に追加