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笠松が梶本宅の一階に降りると丁度梶本が慌てた様子でリビングから出てきた。
「あ、お前ら!今から本部に行くけどついて来るか?」
「何かあったんですか?」
「沢渡渋樹っていう夜の支配者が直々に一班室に出向いたらしい。」
笠松は桜とKの表情を見る。
「僕が本部に行くよ。あの絵と関わりが見つかるかもしれないし、もう一回あの女の子にも会ってくる。二人は快と合流して。」
「分かったわ。気を付けて。」
笠松は頷き、梶本と共に本部へ向かった。
桜とKは梶本家を出て遠藤の携帯電話に連絡した。
数秒後、遠藤と電話が繋がった。
「楓か?」
「快、今どこにいるの?」
「今から陸館さんの家を出るところだ。何かあったか?」
「創君が快と一緒に行動するようにって。別に私達は快の子供でもなんでもないんだけど。」
「そっか。創に代わってくれ。」
「創君は梶本さんと一緒に本部に行ったわ。沢渡渋樹が現れたらしい。」
「…なるほど。じゃあ楓とKだけ来てくれ。場所はここに来ることになった駅の突然喋り出した電柱の所で。」
「うん。じゃあ今から向かうね。」
「気をつけろよ。」
桜は遠藤との電話を切り、Kと共に駅を目指した。
遠藤は桜との電話が切れたことを確認し、続いて遠藤達と同じ世界の遠藤拓真に連絡する。
「おーい、聞こえてる?」
「聞こえてるぞ。お前らが過去に行ったってのは本当なんだな?」
遠藤は拓真がまだ信じていないため、電話を陸館に渡す。
「やっほー、拓真君?それとも拓正?元気ー?」
「そ、空…。」
陸館は遠藤に電話を渡す。
「な、これで分かっただろ。てことで、愚者である拓正君に一つお願い。調べて欲しいことがある。」
遠藤の中で拓真の禁忌は一晩で理解することができた。しかし、遠藤にとって拓真の存在は禁忌を知った後も前も別段変わるものではなかった。
「調べて欲しいことは二つ。あーいや、一つは無理だろうから一つだけ。ーーーを捜して、その人物が俺の守り人か調べて欲しい。方法はそっちに頼む。本部に協力してもらって頑張って。それじゃ。」
遠藤は一方的に電話を切った。その様子を見て陸館は笑う。
「どう考えても遠藤君は拓真君のことが嫌いなんだね。」
「はい、こればかりは自信を持って言えます。」
二人は笑いながら駅を目指した。
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