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「何なんですか、この騒ぎ?」
遠藤は杉原に聞く。
「歓迎だと思ってくれればいいよ。」
杉原は明るく言う。
「それより、呼ばれているから早くした方がいい。」
「誰にですか?」
遠藤が聞くと杉原は人さし指を上に突き出した。
(上層部(うえ)から…。)
誰が呼んでるか想像はできるがどこにいるか分からない。
杉原はどこかへ行ってしまい、大瀧は桜庭と話している。
遠藤が困っていると沙樹下が遠くで手招きしているのを見つけた。
遠藤が近づいてみると、不機嫌そうに遠藤とは反対方向に大股で歩いていく。
遠藤は走って沙樹下の隣につくと沙樹下が話しかけてきた。
「遠藤君、よく正気が保てたわね。」
褒められたので照れながら言う。
「いや、そんなことないですよ。」
沙樹下は遠藤の顔を見ずに話す。
「あんたみたいな○○が何で私の能力を消せるのよ。」
遠藤は固まる。
沙樹下の言葉に心が崩れる寸前にまで陥った。
悪口にではない。
「早くこっち来なさい。」
遠藤は沙樹下の言葉で立ち止まっていた事に気づく。
遠藤がまた沙樹下の隣につくと沙樹下が話し始めた。
「はあ…、やっぱりまだまだなのかな…。」
遠藤は落ち込んでいる沙樹下を見て「小さい」と思った。
(沙樹下さんだって普通に見れば小学生位なんだよな…。…ん?「さん」?)
遠藤は音の力がなくなった為、ないがしろにしていた質問を沙樹下に投げかけた。
「失礼ですが、今何歳ですか?」
初めて沙樹下は遠藤の方を見た。
「女の子にそういうこと聞くのね。流石変態。まあいいわ、今は…十三歳よ。」
「え!?」
「だからタメ口でいいわよ。」
沙樹下が微笑みかけてきた。
サイズ的には小学生三、四年生である。
「は、はい。分かりました。」
「堅いわよ。」
沙樹下が笑った。
その時、遠藤はあることに気付く。
「さっき沙樹下さんが言っていた【まだまだ】って能力に強弱があるって事ですか?」
沙樹下が驚いた顔で言う。
「そうよ、知らなかったの!?全く杉原や大瀧は何を話してたんだか…」
沙樹下は溜め息をついた後、腰に手をおいて、やれやれといった感じで遠藤に説明した。
「まずは能力について。種類は大きく分けて三つ。一つは自分にプラスされる能力。遠藤のがいい例ね。二つ目は相手にマイナスをつける能力。田中が例ね。三つ目はプラスでもマイナスでもない能力。」
説明は続く。
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