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小野田が遠藤の困惑に気付き、言葉を付け足す。
「いや、別に入らなくてもいい。その場合は君の能力はこちらで保管させてもらうから君が狙われる心配はない。」
「そうですか…。」
それは願ったり叶ったりだ。
遠藤はそう繋げて言おうとしたが、杉原の言葉を思い出した。
『俺達の仲間にならないか。』
あの言葉が妙に心に響く。
「すみません、ちょっと考えさせてくれませんか?」
小野田は数秒考えた後、答えた。
「では一週間、時間を与える。それまでに決めてほしい。」
「分かりました。」
(やばい…、今日の情報量半端ない…。)
遠藤はそそくさと退室した。
「寝よう…。」
遠藤はそう呟いた後、その場で倒れた。
遠藤は大瀧と共に街の中を歩いている。
(あれ?大瀧さん?)
(何で俺は大瀧さんと一緒にいるんだ?)
大瀧が向こうから歩いてくる男とぶつかる。
男は大瀧と口論になり、取り壊し前の廃墟に行った。
そして…
「あ、」
遠藤は目を開けると目の前に沙樹下の顔があった。
「遠藤君が目を開けたわよ。」
沙樹下はそう言うとどこかへ行ってしまった。
「お、起きたか。」
今度は目の前に杉原の顔が映った。
「お前いきなり倒れたんだぞ。まあ、ただ疲れが溜まりすぎただけらしいけどな。あと五時間位寝ておけば良くなるらしい。」
「そうですか…。」
「それより…」
杉原が近づいてきた。
「沙樹下がお前の事を好きになったらしい。あんな沙樹下見たこと無かった。倒れたお前を見つけたのもあいつなんだ。俺には悪口雑言だけ残していったがな。」
「はぁ…。」
杉原が遠ざかる。
「なんだ、全然驚かないんだな。気付いていたのか?」
遠藤は寝たままの状態で答える。
「頭がぼーっとして何も思えないです。」
「そうだろうな。しっかり休めよ。」
杉原もどこかへ行ってしまった。
(今何処なんだろう。)
遠藤は再び寝た。
(ああ眠い。マジでだりい…。)
男は自転車に乗りながら呟いた。
(壊してえ。この世界を壊してえ…。)
ぶつぶつ呟きながら指先をカラスに向け、撃つ振りをする。
男は撃つ度に快楽を得る。
自転車をこぎ出した時に男のポケットから何かが落ちてきた。
学生証「谷川瞬(たにかわ しゅん)」
「あ~、よく寝た。」
遠藤は起き上がった。
体調も万全だ。
辺りを見回すと救護室のような部屋だった。
「おーい、早速仕事だ。」
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