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「あ~、よく寝た。」
大瀧は部屋を見回した。
「あれ、遠藤は?」
その頃遠藤は小野田の部屋を訪れていた。
白い部屋の中で小野田と遠藤が浮いているかのように錯覚する。
「それで、要件は何だい?」
小野田が優しそうな声で言う。
「はい。この組織に正式に関わりたいと思ったので、来ました。」
遠藤は自分が緊張しているのを感じた。
「ほう、何故かね。」
小野田は椅子に座ったまま体を前に傾けた。
「理由は必要ですか?」
遠藤は笑顔で返す。
「まあ、そうだね。理由は人それぞれだ。分かった。決めてくれてありがとう。」
小野田は元の姿勢に戻る。
遠藤は帰らずに続ける。
「ただ、俺が入るのには二つ条件があります。」
小野田は笑顔で聞く。
「何だね。」
「まず一つ、俺は杉原さんや大瀧さんと一緒にいたいです。二つ目は、何も無い時は前と変わらない生活を送る事。これが条件です。」
遠藤の額から汗が滲み出た。
青い空間の中、小野田は言った。
「分かった。承諾しよう。では、こちらからも一つ条件がある。」
小野田はどこからか番号の書いてあるシールを持ってきてそれを遠藤に渡した。
「それはある人の能力によって作られた物でね。それを君の部屋のドアに貼ってほしい。そのシールを貼ったドアがこの建物との連絡通路になるから。君の意思でこちらと繋がり、普通のドアとしても使えるから安心して。」
「分かりました。」
遠藤は深く頭を下げた後、小野田の部屋を出て行った。
遠藤はまず桜庭に頼んで自分の家の近くまで車でワープしてもらった。その後、自分の部屋のドアにシールを貼り、本部に戻った。本部に入ってからシールと同じ番号のドアを探し、入ってみた。
自分の部屋だ。
遠藤はそのまま布団に仰向けになり、今までの事を思い出している間に寝てしまった。
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