1.蝋

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学校へは遅れずについた。三人揃って同じクラスとはここまでベタなことはあるのだろうか。 席についてから時計を見ると時刻はとうにいつもの時間を抜かしていた。 まだ先生は来ない。 (これで先生が急病で代わりの先生が来る…とかならもはや漫画の世界だな。) そう考えているうちに普通に担任の先生が教室に入ってきた。マスクをしていることから病気というのは合っているらしい。 一時間目が担任の教えている科目なのでそこでホームルームも兼ねると言ってまた教室を出て行った。 クラスがざわつく。 何があったのかと予想するグループがあちこちにでてきた。 田中を見ると他数名と予想を賭けていた。 遠藤は一人でぼーっとしていた。 休み時間が終わり、授業が始まった。先生はやはり風邪をこじらせたらしかった。風邪が流行っているのか教室にも所々空席がある。 特にどうといった事もなく授業は終わる。休み時間の最中、田中がいつも以上にテンションが高かったことからきっと予想が当たったのだと分かった。 その後も平凡に時は過ぎ、放課後になった。 「おい何でそんなに元気ねえんだよ、遠藤。」 帰り道、田中が心配そうな顔で遠藤を見る。 「別に、普通だけど。」 田中に気を使っている訳ではない。本当にいつもと変わらない。ただ… 「またみたんだよな…」 遠藤の呟きに田中が反応する。 「あ~、だからか、どうりで。」 田中は納得の表情を浮かべている。 また見た、とは夢のことである。最近、何者かに追いかけられる夢をよく見る。遠藤はオカルト好きの田中には話した事があるが、相手にはされなかった。 「これで何回目なんだろうな。」 遠藤が溜め息混じりに呟く。 「今日で十回目だよ…。」 田中が呟く。 「え?」 遠藤が聞き返すと田中は笑みを取り繕って誤魔化す。 「えっ、ああ、ううん。分かんねえな。結構見てんじゃねえの?」 田中は明らかに動揺した。 しかし、遠藤は気にもとめず、田中と別れた。 同時刻、朝着用していたボロボロの服を着替え正装に身を包んだ男は部屋にいた人達を集合させていた。 「皆、もう少しだ。気を抜くなよ!」 重苦しい空気が広々とした空間を支配していた。 何かを待ちわびているかのように…
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