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笠松が手を振る。
「いや、そういう考えは…」
笠松が喋ってる途中で片桐は二人に向かって走り出した。
狙いは笠松だ。
瞬間、遠藤の頭の中をノイズが走る。
「笠松、一歩後ろに下がれ!」
笠松は反応早く後ろに下がる。
横に振られた刃物が服をかすめる。
「次は左にターン!」
笠松は遠藤の指示の本、うまく避ける。
「嘘!何で避けれるの!?」
「笠松、こっちに全力で走ってこい!」
回避不可能なめった切りを笠松は難なく避ける。
笠松は遠藤の横につく。
少し息が切れている。
笠松の言った通りだ。
遠藤は今日、二人で話した事を思い出す。
「今まで見たことのある予知を聞くと、遠藤が死に直面する瞬間のかもね。」
「え?」
「遠藤の話を聞くと、遠藤が死ぬ直前、または、周りに死を感じる瞬間の映像が客観的に見られるわけでしょ?」
確かに。
「そう考えれば遠藤が僕が死ぬ瞬間を予知したにも合点がいく。」
「でも何で死ぬ瞬間なんだ?」
「それはその後の未来がないからだろうね。つまり、最後に見る予定の未来が見える。」
笠松の説明には説得力がある。
「ちょっと待てよ。俺が寝なくても見れた訳は?ていうか何で寝ないと見れなかったんだ?」
「それは分からない。まあ、そのうち分かるさ。」
そして現在に至る。
「よし、確認は終わり。遠藤、走り抜けよう。」
遠藤は片桐を見る。
片桐も疲れているようだ。
「僕が合図したら一気に走る。いいね。」
笠松がスタート体勢に入る。
その時、片桐が呟いた。
「あ~あ、面倒臭いな。」
瞬間、遠藤の頭の中をノイズが走る。
「笠松、右に走れ!」
同時に遠藤も右に走る。
笠松が右に走ったと同時に片桐の持っていた刃物が笠松の居たところまで伸び、壁を突き刺した。
「な、何だあれ!?」
「あ~、またしとめ損なった。やっぱり運命の人!?でも二人もいらない。どっちかは…死ね。」
片桐は壁を叩く。
「笠松、しゃがめ!」
遠藤達の壁から槍状の物が飛び出す。
しゃがんで交わす。
片桐は地面に手をおく。
「前に走れ!」
いた場所に砲丸のような物が勢いよく飛び出し、空中で軽い爆発を起こし、残骸を周囲に撒き散らした。
「ぐっ」
残骸の破片の一つが遠藤の背中に当たる。
「遠藤!」
「大丈夫だ!それより、早く向こうに行かなきゃ桜が!」
遠藤は話の続きを思い出す。
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