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「遠藤の話を聞いてもう一つ思った事がある。」
笠松は下を向きながら言った。
「何だ?」
「遠藤の未来は絶対不可避だってこと。」
「え?」
「先ず、最初の杉原って人の時。あれは遠藤が知らなかった人間。つまり、予測不可能な状況。 次に大瀧って人の時。確かにダメージは受け、イメージと合っていたんだ。」
「ああ、そうだ。」
「次に僕の時。僕のは死んでいなかったんだよね。」
遠藤は思い出す。
「確かに。切られる寸前だったな。」
「そこから未来はない。つまり、運命・未来は変わってない。」
「じゃあ、俺の能力は何なんだ?」
「僕が思うに…遠藤の能力は未来を予知するなんて生易しいもんじゃない。自分が知っている人の情報を全て把握し、かつその全ての人の未来を把握する。その中で自分が死ぬ、または回りが死ぬ瞬間を100%予測する。」
笠松の話を遠藤は全て聞いた。が、意味が分からない。
笠松は続ける。
「もし遠藤がその力を思い通りに出来れば、世界が操れるかもね。いや、全くすごい力だよ!遠藤は。」
何か見落としといる気が…。
「それを踏まえて、楓の件だけど…」
遠藤は息を荒げた。
「そうだ!お前の話が本当なら桜は!」
「待て待て落ち着いて。」
笠松は至って冷静だ。
「何でそんなに落ち着いてられんだよ!」
「大丈夫!僕には考えがある。その考えでいけば、僕の仮説も合ったまま未来を避けれる。」
「は?」
「まあ、任せといて。ただ、遠藤には教えられない。未来が崩れるからね。まあ、全て僕に任せといて!」
現在に至る。
「よし、路地を右側に抜けて!」
笠松は叫ぶ。
二人はダッシュで曲がり角へ行った。
後ろからついてくる音がする。
遠藤が右へ曲がろうとした時、笠松は反対側の左へ曲がった。
「そこで転んで!」
遠藤は意味が分からないまま、指示通りその場に倒れた。
笠松は何かを連れ出した。
制服を着たあの後ろ姿は…
「え?桜?」
それは片桐にぶつかり、片桐に首を切られた。
遠藤の近くに転がる。
間違いない。あの髪型は…
「桜ー!」
笠松は倒れている遠藤を起こす。
「未来確認終了!行くよ遠藤。あれはマネキンだ。家から持ってきて貰った。」
「へえ!?」
変な声が出た。
「とにかく、あれは桜じゃない。立て!逃げるよ!」
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