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遠藤は言われるがままに逃げた。
遠藤は笠松に言われるまま喫茶店へ入った。
「何がどうなってるんだ?てかよく冷静だな。」
遠藤は声を荒らげる。
客がいないのが幸いだ。
「まあまあ。先ず、未来を無理やりにでも実現させなきゃいけなかった。その為にマネキンを用意して遠藤の未来通り行動した。僕の家、制服屋だからさ。マネキンと制服はあるんだよ。カツラは親戚の家から借りた。」
笠松は何事もなかったようにコーヒーを頼む。
「何でそんなに分かってたんだ?」
笠松はコーヒーを飲む。
「遠藤の様子を見てれば分かるよ。実はね、楓に前々から連絡していたんだ。僕が家に呼んだ時は制服で来ること。僕が楓に怒鳴った場合、遠藤が帰って寝るまで家から出ないこと。まあ、遠藤は死の直前の予知だったから意味は特になかったけどね。髪型はいつも通りと言っておいた。マネキンを如何にばれずにするかは大変だったね。わざわざ、あそこに隠しておいたんだから。」
「ちょっと待て。俺がマネキンだと気付いていたらどうなってたんだ?」
「それはないね。暗かったし、生死の間だったから。それと、遠藤の頭の中にはその映像があったわけだから似たような状況をつくれば、勝手に間違えると思ったんだ。まあ、失敗したらその時はその時だよ。」
遠藤は小難しい解説を聞いて笑った。気持ちも落ち着いてきた。
「よくそこまで考えられたな。これでひとまずは安心だな。」
笠松は水を飲んだ。
「今から行くよ。」
「へぇ!?」
変な声が出た。
「片桐を倒さないと本当の未来は変わらない。ほら、行くよ。」
笠松はテーブルにお金を置いて店から出た。
遠藤は後を追う。
「ちょっと待てよ。何か策はあんのかよ。」
笠松は振り返る。
「あるよ。まあ五分五分かな。でも、実現させないと、いい未来を。」
その顔つきは真剣そのものだった。
「はっ。桜が惚れるだけはあるよ。」
「えっ、そうなの?」
「えっ、違うのか?」
「誰かと間違えてるって。」
二人は歩いてまた例の場所へ行った。
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