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二人はある店に寄り、品を買って戻った。
片桐はまだその場に立っていた。
「あ、来た来た。早く続きしよ。」
手を振っている。
「おい、あの子すごい元気だな。」
「あ~、倒すのかわいそうだね。遠藤、さっき話した通りに行動してね。勝率は…5%かな。」
「おいおい、えらく減ったな。」
二人は笑う。
「よし行くか。」
二人は片桐に向かって走る。
遠藤は片桐の右側、笠松は正面で止まった。
笠松が袋から粉状の物をとり、片桐に投げる。
片桐は右手で粉を気体レベルにまで分解する。
「うお!」
遠藤は驚きと同時にポケットから球状の物を投げた。
同じタイミングで笠松は片桐の方へ向かった。
笠松は袋から何かを取り出した。
「成功しろ。」
遠藤の投げた球が片桐の目の前に来た時、笠松は手に持っていたそれらを投げた。
数秒後、光が三人を包む。
光は数秒で消えた。
遠藤が目を開けると、笠松が片桐の両手を上に掲げ、抑えていた。
「何で!?何が起きたの?」
笠松は説明する。
「ナトリウムだよ。僕が投げたのは重曹だ。知ってるかい?重曹には水酸化ナトリウムっていうのが含まれていてね。ナトリウムを入手するのは難しいし、何より時間がなかったから、片桐を信じていたよ。」
片桐を信じていた…
片桐は胸が高鳴った。
「予想だと片桐の能力は原子の変化。要は錬金術みたいなものだろうね。但し、原子の量、種類等、質量保存の法則なんかを無視するのは無理そうだね。だから、僕は水酸化ナトリウムを使って片桐にわざと分解してもらった。不意にすればきっと一番小さく、単純な物質に変えると思ったんだ。本来なら炭酸ナトリウムと水と炭酸になるんだけどね。予想通り、ナトリウム、炭素、酸素、水素に分けてくれて助かったよ。」
助かったよ。
片桐は頬を染める。
遠藤が割る。
「ナトリウムと光って何が関係するんだよ。」
「ナトリウムと水が反応すると光を放つんだけど、強すぎると爆発するんだけどね。いや~、良かったよ。」
笠松は笑顔だ。内容は笑えない。
「さて、片桐をどうするか…」
笠松が考えていると
「あ、あの」
片桐から話しかけてきた。
「何だい?」
「は、放して下さい。」
「ああ、いいよ。」
え!?
遠藤は止めようとしたが、時既に遅し。笠松は手を離した。
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