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片桐はすぐさま立ち上がって二、三歩退がった。
「おい、笠松。どういうことだ。また来たらどうすんだよ。」
「ままま、大丈夫。目を見れば分かる。」
笠松は気楽そうに言う。
片桐は恥ずかしがっている。
「あ、あの…」
「何だい?」
数秒沈黙が続いた後、片桐が口を開いた。
「わ、私と付き合って下さい!」
…???
「へ?ツキアッテクダサイって?う~ん、言っている意味が…」
二人は唖然とした。
笠松もこの状態は予想していなかったようだ。
誰も一言も発しないまま更に時は流れた。
「あ、あの!」
突然、片桐が叫んだ。
「女の子をこんな状態でおいとくのは悪いんじゃないですか。」
この言葉も先程の告白も遠藤宛てではない。
「どうするんだ、笠松。」
笠松は必死に状況整理と解決策を考えているようだ。
突然、笠松は笑い出した。
「いやぁ、片桐の思いには驚いたよ。うん、いいよ。但し、もうこれ以上人を傷つけない事。僕の言うことをきく事。分かったかい?」
「はい!」
片桐は笑顔で頷く。目には涙が浮かんでいた。
笠松は遠藤の方を見る。
「さて、これからどうするか…」
片桐が二人に近付いてくる。
「ねえねえ、これからどうするの?ええと…」
「笠松創。呼び方は何でもいいよ。それと、今日は疲れたからな。もう帰るよ。」
「うん、分かった。また明日、はーくん。」
「ハハハ、いいねそれ。あ、それと早速だけどあそこにあるマネキンの首を付けてくれないかな。」
「分かりました!」
三人は偽桜マネキンへと近づく。
「あと、携帯って持ってる?持ってたら貸して。アドレス交換するから。」
「はい!」
二人はメアド交換とマネキン修理をした後別れた。
先程まで争っていたとは思えない。
「笠松、よく告白を受け入れたな。」
自転車をこぎながら遠藤はきく。
「まあね。でも心は純粋だよ。それに可愛いし。」
「あれ、外見判断?」
会話をしながら二人は帰った。
大瀧と桜庭は片桐を探していた。
「くそっ。どこにもいねえぞ。」
「すまないな、詠一。」
「いいっていいって。それより和志。」
大瀧は一呼吸おく。
「片桐ってのは本当に和志の妹なのか?」
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