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遠藤は突然のことに驚いて動けない。
田中は遠藤の方に走ってくる。
二人の距離があと5メートルほどのところでようやく遠藤の足が動き始めた。
遠藤は勿論田中とは逆の方向へ逃げた。
息が切れる
足が重い
(あれ、こんな場面見たことあったような…)
遠藤は息が切れてきたのに対し、田中は余裕そうだった。
もうだめだと遠藤が諦めかけた時、前方に交番が見えた。
遠藤は最後の力を振り絞って交番の下へ辿り着いた。
「助けてください!」と叫びながら交番内を見ると警官が一人座っていた。
遠藤は急いで警官を交番から出して近くにいた田中から守って貰えるよう限りなく手短に話した。
警官は明らかにただ事ではないと交番からでてきた。
「君、止まりなさい!」
警官は走ってきた田中を止めようとした。
しかし、田中は止まらない。
「うるせえ、どけ!!」
田中は叫ぶなり、右手を前に出し、警官の頭を掴んだ。
次の瞬間、遠藤の目の前にただならぬ光景が映った。
警官はそのままの姿勢、腰にある銃を抜こうとした瞬間で止まっていた。
「仕方ない、遠藤にも見せてやるよ。」
頭の中が混乱している遠藤に田中が話しかけてきた。
田中はポケットからライターを取り出し、警官の頭に火を付けた。
すると、警官の頭はどろどろと溶けていった。
遠藤は失神しそうだ。
田中は隣で燃え溶けている警官をよそに遠藤に話し始める。
「人には必ず能力がある。天は人に二物を与えずって言うだろ?神は人を区別する為に一人一人に様々な能力を与えた。お前はたまたま重要な能力を貰った、というだけだ。俺の能力は触れた物体を蝋に変えること。この力は唯一俺だけがもちうる力だ。」
(俺の力?)
遠藤は冷静になった部分の脳をフルに使って考えた。
(俺の力って何だ?田中は何を言ってるんだ?)
田中は遠藤の思考に気付き、あからさまにイラついた。
「分かんねえのかよ!お前は見たんじゃない視たんだ!それこそお前の能力だろうが!あああああああ!!」
田中はキレ、完全にイかれた。
田中は遠藤に襲いかかる。遠藤は今度こそ逃げられない。足がすくんで動けなかった。
遠藤が田中に頭を掴まれかけた時、誰かが田中の手と遠藤の間に自分の腕を入れてきた。
田中は反応が遅れて目の前の腕を掴む。
「うおっ、」
その人物は軽く驚いた後、田中に掴まれた腕とは違う手で田中の胸ぐらを掴み、思いきり投げた。
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