44.自家撞着 困獣猶闘

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零は遠藤の顔を掴んで遠藤を壁に押し当てる。 「分身でもなく本人が来るとは、考えも無かったか。それともその右手に仕込んだ砲弾でもぶつける手筈だったか?」 狩人は遠藤の右腕を握力で破壊し、笠松を睨みつける。 「笠松創!貴様も後に殺してやろう!」 その時、遠藤を掴む零の手が禍々しく歪む。その歪みは遠藤の顔、体を襲い、遠藤の存在そのものが歪み始めた。 「快!」 笠松は遠藤の体のみを瞬間移動させる能力を創ったが遠藤にその能力が行使されなかった。 「どうして…!?」 「消えろ、遠藤快!」 「やめろぉお!」 笠松が遠藤へ手を伸ばした時、遠藤の存在はこの世界から抹消された。 「………快………?」 零は手を元に戻し、笠松の方を向く。 「遠藤快はこの世界の果てに消えた。この世界の果ては私も知らないが、それはこの世界の『破滅の時』を意味している。」 「そん、な…。」 「貴様が悪いのだ、笠松創。貴様が下等な分際で私に歯向かうから、それを守ろうとした遠藤快は死んだ。それは桜楓も同じこと。狩人以外に私に歯向かう者など居てはならないのだ!」 笠松はその場に崩れ落ちる。零を倒すための策は存在しなかった。 零はゆっくり歩み寄りながら笠松を見下す。 「その苦渋から解放してやろう。私の寛容さに泣き喜ぶがいい。」 零は笠松へ拳を振り下ろす。その時、一発の銃弾が零の拳を撃ち飛ばした。 零は上体を起こして銃弾が来た方向を見る。 そこには銃を構えた杉原十岐が立っていた。 「そこを退いてもらおうか、零。」 「ふむ、そういえば貴様も私の前で平然としていられたな。此度の四大起源は頼もしい限りだろう。その銃弾は狩人の血を塗装しているのか。随分と器用な人間がいるものだ。」 「理屈が分かっているのならそこを退いてもらおう。」 「いいだろう。」 その瞬間、零は杉原の眼前にいた。 「どれだけ少年から離れればいい?」 杉原が何らかの動作を行う前に零が杉原の腹を殴る。その衝撃に杉原はその場から動けなくなり、腹を押さえてその場にうずくまった。 「がはっ…!」 「覚醒状態も既に終わり、肉体は並の人間程度か。つまらん。この際だ。四大起源を抹殺してからアダムと合流しよう。」 「やめて!」 零は舌打ちしながらその声に振り返る。そう叫んだのはLだった。
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