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「それでは、行ってきますわ」
「はい。お気をつけていってらっしゃいませ、姫様」
美味しい朝食を食べ終え、じいやに見送られながら家を出た。
私の家は獣学からさほど遠くない所にあるため、毎日歩いて登校している。
歩いて15分程度の距離なのに、「車で送り迎えさせて頂きます」と言い張る心配症のじいやを説得するのは大変だったけど。
‥‥空を飛んでの登校をしている兄さまはどれくらいで着くのかしら。
ふとそんなことを考えて我が家の大きな門をくぐり抜けると、
「大河ちゃんおはようございます!今日もいい天気ですねえ」
相変わらずのんきな声で話し掛けてくる、銀狐が一匹。
「おはようございます、姉さま」
「今日の朝ご飯はフレンチトーストですか」
「‥‥何故姉さまは毎朝姫野家の朝食を見事に言い当ててしまうのでしょう」
「匂いと勘ですかねえ」
「‥‥いつも鈍感なくせに食に対してだけは絶大な勘が働きますのね‥」
「なにか言いましたか?」
「いいえ何も」
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