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「なんでって‥急に来たと思ったらいきなりしろこを担いで走り出したのは誰ですかあああっ!」
「ははは、そーだったそーだった!!悪かった悪かった」
「まったくもう先輩は‥‥くしゅっ!」
くしゃみに遮られ、ううう、としろこは低く唸った。
この寒さの中、袖のないワンピース一枚でいるのだから、無理もない。
「ほら、俺の上着貸してやるから」
見かねた九尾が上着を脱ごうとしたが、
「だっだめです!」
その動きをしろこが慌てて止める。
「‥‥なんで」
「だ、だって‥それじゃ先輩が風邪引いちゃいますっ」
「俺は大丈夫だから」
「ほんとに大丈夫かどうかなんてわかりません!」
「着込んでるって言ったろ」
「なんとかは風邪引かないので大丈夫です!」
「‥大丈夫かどうかなんてわかんねえって今言ったじゃん」
「はっ!そっそれとこれとは話が別‥」
「‥‥‥」
「そっ、そんな悲しそうな顔したって着ませんからっ!」
「‥‥‥はあ‥」
むむむ、と強い眼差しで見上げてくるしろことにらめっこしながら、強情な奴、と小さく息を漏らした。
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