9人が本棚に入れています
本棚に追加
「しょうがねえなあ‥じゃあ、せめてこれだけは羽織っとけよ」
「え、ちょ」
言うが早いか、しゅるると首から真っ赤なストールを外すと、ふわり、と素早くしろこの肩にかける。
「上着着ねえんならこれくらいはしてもらわねえとな」
「で、でもっ――」
「あー駄目駄目っ!さっきはお前の言うこと聞いてやったんだから、今度は俺の聞いてもらうぞ?」
まだ反論しようとするしろこと目の高さを合わせながら、九尾は意地悪そうに笑った。
「まったく、お前は女の子なんだからもう少し体大事にしなきゃだめだぞ―?」
「‥‥はい、ありがとうございます」
九尾がストールを直しながらそう言うと、しろこは寒さで少し赤らんだ頬を緩ませて嬉しそうに笑った。
最初のコメントを投稿しよう!