しろこ×九尾くん

6/9
前へ
/146ページ
次へ
「‥‥しろことペア組んでくれて、ありがとうございました」 少し間があってから、しろこはふわ、と満面の笑みを浮かべ、そう言い放った。 「なんだよ、急に」 そんなことか、と笑う九尾を見つめながら、しろこは続ける。 「先輩は、しろこの憧れなんです」 「‥‥‥。 何それ、初耳なんだけど‥」 「だって一度も言ったことありませんから」 「‥‥‥」 「ずっとずっと、憧れだったんです。 同じ妖狐でも、妖術のレベルも桁違いに高くて‥ああ、こんな格好いい人がいるんだなって。 先輩とペアになれて、こうやって一緒に同じ時間を共有することが出来て‥しろこは幸せです! だから、ありがとうございます、なのです」 えへへ、と笑いながら、明らかに寒さのせいではなく赤らめた頬を緩ませた。 (なんつーか‥‥ 直球すぎて‥‥‥) そんなしろこを見下ろしながら、九尾は本日2度目のため息をついた。 「先輩?どうしたんですか?」 へなへなとその場に座り込む九尾の顔を、しろこが不思議そうに覗き込む。 ふと顔を上げると、二人の視線は再び交わる。 「――お前さあ、それって―――」
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加