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僕が、まさか乞食から物をもらうだなんてと遠慮していると、老人は強引に僕の手を取って、その紙を握らせた。
この時、ヒゲ面のじいさんの顔が接近して来て、ニコッと微笑んだので、僕も一応ぎこちない笑みを返してみた。すると…
「なに、気晴らしにスカッと出来る無料ゲームの入口だよ」
僕は、乞食の言うことだからと半信半疑だったが、ちょうどイライラしていたので「スカッと出来る無料のゲーム」というフレーズに、つい心ひかれてしまった。
「えっでっでも、僕がもらっていいんですか」
「構わん。構わん。持って行け。持って行け。遠慮などするな若者よ。さぁ、早くそれを利用してスカッとしたまえ」
「え、えっと、あ、はい」
僕はなんとも微妙なひきつり笑顔で「どうも。どうもです」と、乞食にそんな挨拶をした。
「いいんじゃ。気にせずに、さぁ、お行きなされ」
「あっ、ありがとうございます」
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