(一)乞食がくれたバーコードリーダー

10/13

412人が本棚に入れています
本棚に追加
/237ページ
僕が、まさか乞食から物をもらうだなんてと遠慮していると、老人は強引に僕の手を取って、その紙を握らせた。 この時、ヒゲ面のじいさんの顔が接近して来て、ニコッと微笑んだので、僕も一応ぎこちない笑みを返してみた。すると… 「なに、気晴らしにスカッと出来る無料ゲームの入口だよ」 僕は、乞食の言うことだからと半信半疑だったが、ちょうどイライラしていたので「スカッと出来る無料のゲーム」というフレーズに、つい心ひかれてしまった。 「えっでっでも、僕がもらっていいんですか」 「構わん。構わん。持って行け。持って行け。遠慮などするな若者よ。さぁ、早くそれを利用してスカッとしたまえ」 「え、えっと、あ、はい」   僕はなんとも微妙なひきつり笑顔で「どうも。どうもです」と、乞食にそんな挨拶をした。 「いいんじゃ。気にせずに、さぁ、お行きなされ」 「あっ、ありがとうございます」
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!

412人が本棚に入れています
本棚に追加