(六)線がぼやける。捜査混乱

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「また今回の事件は、公安とも協力して究明してもらわねばならない案件に転じているから、こんな狭い部屋ではダメだ。対策本部の場所を移動させるべきだ」 「部屋なんか、どうでもいいんです」 向井はイライラしていた。なぜならマスコミがさっとうして、彼らも、この二つの事件を同一氾のしわざと考えるようになっていたからだ。 しかもテレビ、新聞、ネット上、何を見ても、犯人に対して微妙な扱い。 以下、あるテレビ局のニュース報道… 「もちろん卑劣極まりない犯行で、決して許されることではありません。しかし、ネット上や学生達の中には、犯人を英雄視する声もあがっており…」 向井は、マスコミが若者の意見を拾って、その拡声器で持って国中に、犯人の信者を広めやしないかと、その点を一番懸念していた。 火が付けば、コイツはもっと調子に乗る。 どうしたらいいのか。 テレビやラジオでさえ統制がきかないのに、ネットの中はもっと過激なファンが増えて、手に負えなくなる。
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