(六)線がぼやける。捜査混乱

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ここは冷静に捜査をやらないと、ゲームをした学生達の協力さえ得られなくなるかも。 むろんまだ人は誰も死んでいないが、社会を混乱させるウィルスをこれほど一気に広めるだなんて、 相手は英雄でもなんでもない、ただのテロリストだ。 どうにかしなければ。 向井達は、地方でバラバラに起きていた暴露ウィルスの犯罪を、ようやく線でつなげかけたところだった。 なのに、首都機能に一気に襲いかかったウィルスの事件が最優先されて、今までゆっくり積み上げて来た捜査が葬られそうな勢いだった。 「焦るな。ヤツとの知恵比べだ。足下の大きな混乱に惑わされるな。すべては恐らく…地方から始まっている」   彼は、自分にもそう言い聞かせながら、部下に命令していた。
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