(六)線がぼやける。捜査混乱

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「でも、向井さんは、やはりすごいっす。目の付けどころが違います。僕は最初、各地方で起きているバラバラの事件を、それぞれ捜査すると言われた時には、どうなることかと思ってたんですが」 直属の部下である谷岡佑介が、向井を褒めちぎる。 「谷岡くん。おだてたって、何も出ないぞ。それに今の状況では、我々警察は、氾人にすっかりなめられているからね。人が死んでいないだけで、これは無差別に被害者を急増させている悪質なテロ事件だ。 しかもまったく犯行を企てていない学生達に罪をきせるだなんて、悪質極まりない。おまけに、私の母校である東都大学を、惨劇の舞台にするだなんて、この犯人は、ぜったい捕まえてみせるからな」 犯人は、向井を本気で怒らせてしまった。 「上の許可を取るのがじれったいが、マスコミへの説明の際は、これだけはしっかり告知してもらわないとな。 まず知らない相手から送信されて来る無料ゲームはぜったいに試さないことと。特に狙われているのは、有名国立大、私立大の学生達である点。この二点を公表してもらって、注意を喚起してもらわないとな。もうこれ以上学生達を加害者にしてはならないぞ」
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