(六)線がぼやける。捜査混乱

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マスコミへのプレスは、上司に任せて、向井は、設置されたばかりの新しい対策本部の広い会議室に移動した。 そこで待っている公安の捜査官達にも、これまでの経緯を説明しなかればならなかった。 向井は、数年前から調査してきた暴露ウィルスに関する地方の事件を一つ一つ詳細に説明し始めた。だがその途中で、 「いいですか、向井さん。ことはもうあなたの手に負えないほど、大きな案件になっているのですよ。 恐らくあなたの言う通り、この数年、点で起こっていた地方の企業や団体を揺るがせたウィルス事件も、同じ犯人かと思われます。 だがもはや、政治家を狙った時点で、その端々の事件は、後回しにするべきです。私はそう考えます」 公安捜査官達は、これまでの向井の解明してきた企業に入るウィルスと、東都大学の学生達が広げてしまった恐ろしいウィルスの出どこを中心に、足取りを探ることから、捜査を開始した。
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