(六)線がぼやける。捜査混乱

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向井はこの時、何度も言ったのだ。   このウィルスは、最初、中国やインド、それに国交のない北キプロスや、東トルキスタンにいる個人、といっても匿名で、実際は存在しない一般市民の携帯やパソコンから、海外のサーバーを経由して、日本の学生にデータが送信され、始まっている厄介な代物であることを。  恐らく今回の東都大学の学生達は、ある程度無作為に選ばれた者達だと思われる。 今やゲームをしない学生なんて、少数の時代。 興味がなくても、何度かはそんなサイトを閲覧したりしているはずだし… この犠牲者の数から考えると、ゲーム好きな学生ばかりが選ばれたのではないはずだ。 では、これまでに地方で起きていた事件の加害者になった学生達はどうなんだ? 地方に点在していたここ数年に渡る事件は、何か必ず共通点があるはず。 それも国内に。 公安委員の大きな動きとは別に、向井達は密かにもう一度、地方の事件の一つ一つを一から洗い直すことにした。
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