(七)京都の学生

8/17
前へ
/237ページ
次へ
その小太りな青年は、正面にあるノートパソコンの画面を凝視しているようだった。 「桐生くん、お邪魔するよ」 と、言っても、相手からは返事がない。 仕方なく佑介と供に靴を脱いで、彼の座っている所まで進む。 すると、パソコンの画面に映る映像がハッキリ見えた。   その青年はこりもせず、またゲームをやっていたのだ。 しかしなぜか、私達が入って来たことに、まったく気づいているふしがない。   そこで青年の顔をのぞき込むと、驚いたことにその青年はゲームをしたままで、意識をなくしていた。   京都府警の捜査官達があわてる。 「あの向井さん。彼は、この前取り調べをした桐生尚人とは、やはり違います」 「じゃぁ、別人ってことかい」 「はい」
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!

412人が本棚に入れています
本棚に追加