(七)京都の学生

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「君。おい、しっかりしろ。どうした」 向井はその青年の脈を取ってから、口元に手を当てた。 「大丈夫。呼吸はしてる。早く救急車を」   この時、玄関先に、細身で長身の色の白い青年が立っていて、我々の様子を見ると、飛んで逃げ出した。 部屋の中の意識をなくしている青年の方は、京都府警の捜査官達に任せて、向井と佑介は、逃げた方を追いかけた。 「彼が、この部屋の住人の桐生に間違いない」 「向井さん、僕、中学、高校と陸上の短距離選手だったんです。足の速さなら、警視庁の誰にも負けませんから、任しといて下さい」 そういって、佑介が猛スピードで、青年を追った。 やがてその青年は川端を走って、階段をおり河原へ逃げ込んだ。 佑介も階段を駆けおりる。 そしてかなり遅れて向井も。
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