(七)京都の学生

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「そうだぞ。発見された時、意識不明の状態だったんだからな」  横にいた谷岡佑介が、叱るような感じで、口を挟んだ。 「え?意識が…そっそんな。僕、何も知らないです。ちょっとコンビニに行ってただけなんです。本当です。ウソじゃないです」 尚人はかなり困惑して、向井に助けを求めるような情けない表情をしていた。 「まぁ、落ち着いて。何も、君をすぐ捕まえるとか、そんなんじゃないから」 「でっでも、あなた達、ひどく怖い顔して、追いかけて来たもんだから、僕、つい逃げちゃって」 「ああ、すまなかったね。でもこれも仕事のうちだからね。私は、警視庁で、主にサイバー犯罪を担当している向井だ。そしてこちらは、谷岡捜査官」 「じゃあ、東京のデカさん?…そっそんな人が、どうして?」 「まぁ、ここで立ち話するのもなんだから、一度部屋に戻ってもらえないかな」
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