(七)京都の学生

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そこで電話を受け取ると、京都府警の捜査官の一人からだった。 内容は、尚人の部屋で意識をなくしていた青年が、救急車の中で目を覚ましたことを、告げるもの。   向井は電話を切った後、混乱している尚人を落ち着かせるため、すぐにそのことを伝えた。 「どうやら、君のお隣さんは、大丈夫だったようだよ。捜査官達に、君のせいじゃないと、しきりに言っているようだし、安心しなさい。彼は、ゲームをしていただけだと説明しているそうだ」 尚人は、それを聞いてようやく安堵した。 彼が涙を浮かべつつ、少し落ち着きを取り戻したので、向井はまたこう尋ねた。 「君のお隣りさんがしていたのは、もともと桐生くんが持っていたゲームか何かかね」 「違います。僕は、まだあれを、一度もしていません」
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